私は幼少期からのこれまでの人生の約半分を海外で過ごしてきました。自分の意思で留学したり海外就職したりした訳ではなく、ずっと家族帯同という形での海外生活でした。
自分の意思ではないからこそ、その土地でその時どのように自分の人生の一時期を過ごすのか、ということに早い時期から真剣に悩み、カルチャーショックやアイデンティティクライシスを乗り越えて大学を卒業。そして、将来を考える頃には幼少期を過ごしたアフリカと関わる仕事、何か御恩返しができる仕事がしたいと思うようになり海外経済協力の仕事に就きました。
その後、人生のいろいろを経て日本国内の外国の方のサポートを行う入管業務に出会い、申請取次行政書士の道を歩み始めました。これまた平坦な道ではありませんでしたが、多くの外国の方とその方を取り巻く日本の方々のお話しを聞き、諸手続きのお手伝いをするなかで「よかったね!」と思える瞬間に数多く立ち会えたことはとても幸せなことでした。
そして、外国人相談の相談員活動が増えていくに伴い、多様なバックグラウンドを持つ他言語相談員さんたちと一緒に多様な相談者様からさまざまな相談を受ける中で、かつての海外での自分の姿が思い起こされ、異国で生きるこうした方々の在留資格や手続きのお手伝いをしつつもこれらを超えるかたちで状況がさらにプラスの方向に動けば、との思いから異文化理解とコミュニケーションについて学び、研究を重ね、体系化しました。
異国の異文化環境で育ち、生活し、仕事を通しても海外の方と関わってきたからこそ、文化をわかりやすく他文化に伝える異なる文化間の橋渡し、制度や仕組みの翻訳者として「異文化コミュニケーター」を名乗ることにしました。
文化的背景、多文化共生、異文化理解などなど、文化という言葉はあちこちで耳にしますが、では、本当に「文化」について深く考え、語る機会はどのくらいあるでしょうか?そもそも文化とは何か?そういったことを考え、伝えていくのも異文化コミュニケーターの重要な役割と認識し、研鑽を重ねてわかりやすくお伝えしていきたいと思います。